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口内だけじゃない「歯」のトラブル… 歯周病菌が「認知症」「大腸がん」を招く!?

2017.11.25

永久歯の喪失や歯周病など、歯のトラブルはとかく口内の問題として片付けられがちである。が、これらを放置すれば、禍(わざわい)は全身に及んで取り返しのつかない事態を招くことに――。

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 成人の永久歯は28本、親知らずを含めれば32本である。80歳の時点で自前の歯を20本残そうという「8020運動」は、1989年から厚労省や日本歯科医師会によって推進されてきた。深井保健科学研究所所長で前「8020推進財団」専務理事の深井穫博氏が言う。

「10月中旬に『歯科疾患実態調査』最新版の詳細が公表されました。それによると、8020の達成者は5年前の前回40・2%から大きく増加。51・2%と、初めて5割を超えました」

 運動開始当初、達成者はわずか7%に過ぎなかったというから、口腔ケアの重要性が広まった成果と言えよう。そもそも歯を失うと、

「生活習慣、とりわけ食生活が変化してしまいます。固い食べ物を避け、野菜や肉の代わりに麺類やおかゆといった食べやすい炭水化物に偏っていく。食事の多様性と栄養バランスが崩れ、糖尿病や動脈硬化など、さまざまな生活習慣病のリスクも増加します。十分に噛めないと、高齢者は低栄養状態に陥って筋力が低下しがちとなり、転倒やサルコぺニア(加齢性筋肉減少症)のおそれもある。実際に要介護になる要因の1位は脳血管疾患ですが、以下認知症、高齢による筋力低下や転倒による骨折と続くのです」(同)

 一方で、神奈川歯科大学の山本龍生教授によれば、

「愛知県の知多半島で65歳以上の住民4425人を対象に4年間追跡調査したところ、歯が20本以上ある人に比べ、歯がほとんどなく義歯も未使用の人は、認知症の発症リスクが1・85倍になることが分かりました。また過去1年に全く転倒したことのない65歳以上1763人を対象として、3年後に過去1年間で2回以上転んだかという調査を行ったところ、20歯以上の人に比べ、19歯以下で義歯も使用しない人は転倒リスクが2・5倍になるとのデータも得られたのです」

 なぜ転ぶのか。

「歯は体の骨格の一部であり、それを失うことは骨格を欠損するのと同じです」

 そう指摘するのは、東京かみ合わせ治療研究所の安部井寿人所長だ。

「人体は一番上に重い頭部が位置し、重心が高くバランスが取りづらい形で二足歩行している。頭部のバランスを司る神経は、下顎骨の運動に関わる咀嚼筋から脳へと延びており、歯を失うことで咀嚼筋からの神経伝達が減ります。すると下顎の位置が不安定になり、転倒しやすくなるのです」

 歯を噛み合わせた時の刺激は、歯根の周りを取り巻く歯根膜から脳に伝わり、脳の活性化を促すという。咀嚼がままならなければ、あわせて認知症の危険も高まるわけだ。

暴威をふるう歯周病菌

 さらに、国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部の松下健二部長が言うには、

「歯がある人は、余命に関して明らかに統計学的な優位性がみられます。福岡県の65歳以上の住民656人を対象に死亡率との関係を調べたデータでは、1本失うごとに死亡リスクが0・018倍ずつ上昇することが分かっています。20本以上残っている人を1とした場合、10~19本の人は1・36倍となり、1~9本では1・54倍。さらに、1本も歯がない人のリスクは1・66倍にもなるのです」

 永久歯を失う二大要因は、言うまでもなく虫歯と歯周病。とりわけ後者は厄介だ。

「そのリスクを高めるとされる歯周病原菌は、口腔内に800種類ほどあります。特に関連が深いのは『レッドコンプレックス』と呼ばれる3種。いずれも酸素のある場所では活動できない嫌気性菌で、歯と歯茎の間の歯周ポケットが深くなると、空気の届かない奥の方の歯垢(プラーク)で増殖する。これらが歯周病を引き起こすのです」(松下部長)

 ゆめゆめ歯を失うだけの病気と軽んじてはならない。

「2013年の英国の研究チームの報告によれば、アルツハイマー型認知症で亡くなった10人の患者を調べたところ、4人の脳から歯周病菌が見つかったといいます。歯茎から出血し、口腔内の菌が破れた血管から全身に流れていく。これを菌血症といい、そのうち菌は血管内部で暴れ出す。実際に、心筋梗塞を起こした人の冠動脈からはレッドコンプレックスの一種が検出されています」(同)

 鶴見大学歯学部の花田信弘教授も、こう言うのだ。

「心内膜炎の患者の心臓から口腔内細菌が検出されたケースもあります。歯周ポケットに溜まる細菌の数は億単位にのぼり、血管に侵入するとわずか90秒以内に全身にばら撒かれていく。細菌が壁に付着することで血管は腫れ、虚血性疾患を引き起こします。脳で起きれば脳血管が詰まり(脳梗塞)、まだらボケなどを発症することもあります」

肺炎、大腸がんも…

 歯周病はまた、肺炎の発症にも深く関わっている。

「一つは血行性肺炎。体内の血液は肺に一度集まるので、血液に細菌が侵入すると肺にまで届いてしまう。二つ目は誤嚥性肺炎で、就寝中など知らぬ間に気道から唾液を誤嚥してしまう不顕性誤嚥というものです。口腔内細菌が集まって塊となった多糖体『バイオフィルム』には約700種類の細菌がいるとされます。唾液は就寝中に分泌がストップし、その浄化作用が働かなくなるため、細菌は一晩で1000倍ほどに増殖してしまうのです」(同)

 繋がりは尽きない。再び松下部長は、

「末梢動脈に炎症を起こすバージャー病についても、病巣から数種類の歯周病菌が発見されたとの報告があります。また近年、口腔内細菌が直接、他の臓器に影響を及ぼす可能性が指摘されている。食物と一緒に消化管の中に移ると大半は胃酸で死滅しますが、生き残った菌は大腸などに定着して腸内環境を乱すのです。ここで毒素が発生し、腸の炎症や腸管の障害を生じさせるおそれもあります」

 別の研究では、

「歯周病原菌の一つであるフゾバクテリウムヌクレアタムという菌が大腸がんの原因ではないかとされています。というのも、腸内では時々がんに変異する細胞が発生し、通常は免疫系の細胞が抑え込みますが、この菌が腸内に入ると免疫系細胞を減少させたり、機能を低下させたりしてしまうのです」(同)

 まさに諸悪の根源である。

「週刊新潮」2017年11月23日号 掲載

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171125-00533202-shincho-life&p=3   より転載

健康は健口から、まさにその通りなんですね。

まずは定期的な歯科医院の受診が大切です。

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